私鉄を乗り継いで旅するページ(ホーム)

(福井〜)小松〜金沢〜富山(〜糸魚川?): ローカル私鉄+バス乗継

  (旧JR北陸本線からの転換路線は対象外としています)

2020/4/2 [のみバス]情報修正
2020/3/31 [あわらぐるっとバス]を追加
2020/3/21 富山ライトレール〜地鉄直通を反映、他旅程表を整理

           旅程表の凡例はここをクリック

区間

交通機関

難易度

・永平寺(福井県)〜加賀温泉間は[永平寺おでかけ号]あり【予約優先】。
・福井県側:あわら湯のまち駅〜県境(吉崎)は、土休日に[あわらぐるっとバス]、[あわらぐるっとタクシー]あり(2020年度も継続運行)

・石川県側:加賀温泉内、県境(吉崎)、及び加賀温泉〜小松空港は[キャン・バス]あり(1日・2日券必要) → キャンバス公式サイト
・小松空港〜小松駅、那谷寺〜小松駅は小松バスあり

小松駅〜寺井史跡公園前 [小松バス:長田経由または小杉経由]
 または
小松駅〜辰口丘陵公園口 [加賀白山:佐野線]

 小松
加賀白山(北鉄)

小松バス

北陸鉄道

朝夕

寺井史跡公園前〜鶴来駅 [連携ルート 北廻り]

 能美市
 [のみバス]


鶴来発のみ2本

能美

日中

寺井史跡公園前〜辰口福祉会館〜宮竹 [連携ルート]

辰口福祉会館〜宮竹〜鶴来駅 [さとやまルート]

2〜3本

鶴来〜野町

 北陸鉄道

北陸鉄道

野町駅または野町(国道上)〜金沢駅西口または金沢駅

 北陸鉄道

金沢駅西口〜井波 [南砺〜金沢線]

 加越能

加越能バス
([南砺〜金沢線]は
時刻表ページの右側メニュー)

井波〜高岡駅前 [庄川町・小牧堰堤発]

 加越能

高岡駅〜海王丸〜越ノ潟

 万葉線

万葉線
(県営フェリー、ライトレール周遊ルートも掲載)

富山地方鉄道

射水市

船利用

越ノ潟〜堀岡

【船】富山県営

新港東口〜(富山大学前〜)新富山〜富山駅前
 (大学前〜富山駅前間は市内電車もあり)

 富山地鉄


最大3h毎

岩瀬浜経由
土休日専用

海王丸パーク〜岩瀬浜
 [海王丸パーク・ライトレール接続線
 (万葉線・富山ライトレール周遊ルート)]

 射水市
[
きときとバス]


土休日のみ4

岩瀬浜〜富山駅

 富山地鉄

電鉄富山〜愛本

 富山地鉄

宇奈月市民サービスセンター〜あさひ総合病院前〜泊駅前
 [愛本線]

あさひまちバス


5本、土休日運休

朝日町

泊駅前〜あさひ総合病院前〜市振 [市振線]

あさひまちバス


4
5本、土休日運休

この先は、糸魚川市コミュニティバス[きらら青海・玉の木線]が週に1日だけ運行。特に利用者の制限はないようです。詳細は糸魚川市のサイト(→くらし)参照。

 「全国路面電車でゆく旅」(交通タイムス社)という本を読んでいたら、富山ライトレールと万葉線との間を結ぶルートがあるという記事を見つけました。それならば北陸地方を私鉄と民営バスだけで移動できないものかと思って考えたのがこのルートです。残念ながら、2012年4月からあわら市コミュニティバスが廃止されたため、福井からのアクセスが少々難ありになってしまいましたが、それでも石川県の西端から新潟県の西端までは割とスムーズにつながります。

 乗車記(2008年3月: 旅程表と異なる区間有り)

 今回は平日を含めて2日の時間が取れました。これでは当初予定の武生〜市振を移動するのは不可能なので、押さえておきたいところを絞って行くことにしました。情報が乏しい能美市コミュニティバスと朝日町公共バスはぜひ押さえておきたい。これでスケジュールを検討すると、山代温泉→市振間だと2日で移動可能なことがわかりました。前日夜に高速バスに乗って加賀温泉駅まで行けば大丈夫そうです。(実際に実行される場合は、最新の時刻をご確認ください。)

 渋谷マークシティ→加賀温泉駅

 渋谷マークシティの5Fに高速バス乗場があります。福岡の西鉄天神バスセンターみたいなものかと想像していたら、期待を裏切られるようなショボい乗場でした。乗場に屋根がないし、待合室も狭いため、雨の中行列ができている状態でした。(←2017年1月にリニューアルされてだいぶマシになったようです。)実は徳島行きの[エディ]が遅れていて、行列の大部分の人はそっちに乗っていきました。道理でお遍路さんの格好をした人がいたわけです。
 加賀温泉行きに乗った人は少なく、1/3くらいしか席が埋まっていません。が、JR八王子駅でかなりの乗車があり、ほぼ満席になりました。やはり他社との競合がない多摩地区の人が主なユーザーなのかと思います。
 (途中お休み)
 小松駅を出て国道8号線をずっと進むのかと思いきや、途中でくねくねとした道に入り、そのまま終点加賀温泉駅に到着しました。駅前には大型スーパーがある他はこれといったものはありません。加賀温泉というのは実際は山代・山中・片山津といった一群の温泉の総称で、加賀温泉駅は単にそれらの最寄駅にすぎなかったのでした。ここから温泉に行くのにさらにバスに乗り継がないといけません。なので、どうせならこの高速バスの行先を山代温泉あたりにした方がいいのではないかと思いました。

 加賀温泉駅→山代温泉東口

 このバスに乗り継いだのは私を含め2人だけだったようで、そのもう1人は途中で降りてしまいました。他は地元客ばかりで、高速バスから乗り継いで山代・山中温泉に行くという人は残念ながらいなかったようです。
 山代温泉で約2時間待ちということで、せっかくだから温泉に入っていくことにしました。バスの道をそのまま進み、さらに突き当たり近くまで行くと温泉浴殿(総湯)があり、そこで入浴できます。朝6時から開いていて、地元の人が銭湯として利用しています(ただし休業日あり)。タオル・石けん・シャンプーは持参か受付で購入する必要があるので注意。また、おみやげとして温泉玉子が有名だそうです。
 温泉の先に魯山人寓居跡というのがあるので行ってみたいところでしたが、朝早くてまだ開いていないだろうし、まだ朝食も取っていないため、今回はパスしました。

 山代温泉東口→粟津温泉

 まずは朝食の確保ですが、この時間はコンビニしか開いていなさそうです。ちょうど山代温泉東口の停留所に待合室があるので、そこで風を避けながら食べることにしました。こういう待合室は雪国だから必要なのかもしれません。もっともゴミが散らかっていて、今ひとつ食事する気にはなりませんでしたが。
 ↓山代温泉〜粟津温泉間の普通バス[山代A線]は2008/5/1廃止となり、[温泉特急]のみとなりました。なお、上の旅程表は[キャンバス]利用のルートとしています。
 本当は粟津温泉まで普通バスで行きたいところですが、なにぶん本数が2本しかないという難関なので、金沢直通の[温泉特急]で行くしかありません。この便、運賃の他に座席料30円がかかります。といっても別に指定席ではなく、観光タイプの車両のための特別料金ということのようです。確かにさっきの加賀温泉駅からのバスと比べると、雲泥の差があります。まだ寒いこの時期、このバスにずっと乗っていたいところですが、今回は仕方なく粟津温泉で降りることにします。

 粟津温泉→小松駅

 再び一般路線車です。しかも座席がえらくくたびれています。もしかして、名鉄の中古?と思いましたが、確信は持てません。
 粟津〜小松間は大まかに2つの系統があって、片方は粟津駅口〜県道11号を、もう一方は粟津駅前〜国道8号を走ります。今回は県道11号を通るほうに乗車。
 途中、粟津駅の近く、粟津公園・石川県立小松児童会館にある「なかよし鉄道」には尾小屋鉄道の車両が保存されていて、土休日などに運転も行われているのですが、なにぶんこのスケジュールなので、今回はあきらめです。
 JR北陸線をまたぐと、「コマツ」の工場の横を通ります。よく聞く会社ですが、そのまんま小松にあったのでした。パワーショベルの姿も見えます。

 小松駅→寺井

 小松駅前に大和(ダイワ)デパートがあるので、ここで昼食用に弁当を買っておきます。「ますのすし」が1切れ入っている弁当があったのでそれにしました。
 さて、
尾小屋鉄道ネタでもう1つ。小松駅から今でも尾小屋まで小松バスが走っています。しかし、3往復しかないので、そう気軽に行ける所ではありません。
 なので、今日は寄り道せずまっすぐ能美市に向かうことにします。長田経由、新道経由、小杉経由の小松バスと、辰口行きの加賀白山バスがありますが、停留所には会社の区別なく一緒に掲載されています。今回は一番本数の多い長田経由に乗車。小松駅は新幹線仕様?という感じの無機的な高架駅ですが、駅を出るとすぐに昔ながらの城下町らしい街並みに変わります。時間があれば寄り道して観光したいところです。

 [のみバス]の寺井停留所は、2008/4/1の本格運行に合わせて「フットライフウノ」に変更されました。同店が命名権を取得したためです。←2018/4/1より寺井に戻りました。

([のみバス]の運行ルートがその後大幅に変更されているので注意)

 寺井→辰口福祉会館

 ちょうど昼食時間なのですが、あたりに腰を休める場所はなさそうです。仕方なく、路地裏のコンクリートブロックに腰掛けて、買ってきた弁当をつまみました。
 さてこれから1時間以上かけて能美市を横断することになります。もともと根上(ねあがり)町、寺井町、辰口町だったのが合併したため、東西に長い市になっています。

 能美市も温泉があって、「クアハウス九谷」や辰口福祉会館内の「ふるさと温泉」で日帰り入浴が可能です。また、特産の九谷焼もあります。
 辰口までは加賀白山バスも運行されていますが、なぜか小松バスと異なり、停留所が[のみバス]と共用ではありません。
 辰口で和佐谷行きに乗り継ぎですが、ここでは「乗継券」を発行してもらえます。つまり1時間以上乗っても運賃は100円という、ありえないような安さです。

 辰口福祉会館→和佐谷

 辰口の中心部はルートが複雑で、さっきのバスが通った辰口ショッピング前をもう1度通ります。(←辰口ショッピング前の最寄停留所は辰口温泉で、[温泉特急][辰口線特急便(平日片道1本のみ)]のみ停車。辰口温泉は別の場所です。北陸ローカルバス探見隊(もりさけてん様)のサイトに停留所の位置関係が載っています。)
 これから和佐谷に向かう途中、長滝と大口とに寄り道します。ギンギラした目立つ建物は北陸先端大(正式には北陸先端科学技術大学院大学という長い名前)です。うーん、これが「先端」なのか・・・ここに来る人で[のみバス]を使う人っているんだろうか・・・という感想ですね。
 この先、いったん能美市を出て白山市に入ります。ここにかかる「天狗橋」は古いトラス橋です。いい味出してはいるのですが、何せ歩道もない狭い道で、危なっかしいです。すでに架け替えの工事が始まっているようでした。この橋、もしかして北陸鉄道能美線の廃線跡を利用?と思ったのですが、それは違いました。旧能美線はもう少し上流、鶴来駅先の線路が急カーブしている所から分岐していたようです。ちなみに、この能美線は廃止後、加賀白山バスに引き継がれていたのですが、それも2007年末で廃止となってしまいました。現在、能美市から北鉄の鉄道線へのアクセスは、今乗っている[のみバス]の2.5往復だけという、難関になっています。
 バスは北陸鉄道の線路と並行する国道157号線を進んだ後、能美市に戻り、和佐谷に到着します。

 和佐谷→加賀一の宮駅

 和佐谷には店もほとんどありませんが、国道157号線の「道の駅 しらやまさん」に行けば買物もできそうです。ここから、加賀一の宮駅へは和佐谷橋を渡っていきます。歩道橋ではあるものの、古くて床は木という、少々不安になる橋です。この道に立っている案内板を読むと、和佐谷は古い歴史をもつ土地のようです。
 北陸鉄道の加賀一の宮駅は道の駅とは対照的に、今は無人となってしまっています。かつては白山下まで延びていた線路も1980年代に廃止され、今は駅前の道路を代替のバスが走ります。今は終点となったこの駅も、白山比盗_社への玄関駅らしい堂々とした駅舎であるだけに、いつまで残るのか気になります。なお、この駅にはWCがないので、神社の駐車場まで行かないといけません。
(加賀一の宮〜鶴来間は2009/11/1廃止)

 加賀一の宮→野町

 駅舎の外に、臨時改札口の跡らしきものがあり、そこからホームに入れるのですが、せっかくこの駅に来たので、重い引き戸を開いて駅舎内に入りました。切符売り場などもそのまま残り、賑わっていた頃を思い起こさせます。
 その駅舎とは不似合いな、元東急のステンレス車がホームに停まっています。すでにバス同様、ワンマン化されています。車両があの東急であるだけに、走り出したときの振動が余計ローカルっぽさを感じさせます。鶴来の車両基地にはラッセル車も居て、ローカル線でも冬季のメンテはやらなければならない苦労がしのばれます。加賀一の宮発車時にはまばらだった乗客も、金沢に近づくにつれ増えてきますが、それでも2両で十分足ります。意外にも新西金沢でJRに乗り継ぐ人は少なく、むしろ新西金沢から乗ってくる人がいました。JR金沢駅が市街地からやや離れているため、それなりに利用者がいるのでしょう。
 かつては長大な路線網を有していた北陸鉄道の生き残りといえるこの路線ですが、果たして今後も経営が成り立っていくのか心配です。

 野町駅→本津幡駅

(野町駅〜津幡方面直通の便は本数が減っています。直通便以外は香林坊等で乗り継ぎとなります)
 石川/富山県境を越えるバス路線としては、高速バスの他、金沢〜砺波ルートと七尾〜脇ルートがあります。金沢〜砺波ルートだと今日中に十分高岡まで行けるのですが、市販の時刻表に載っているルートをそのままたどるだけなので、今ひとつ物足りない。かといって、七尾〜脇ルートは遠回りでしかも接続が悪いので、スケジュール的に無理がある。それなら北陸鉄道浅野川線で内灘まで行って、そこから森本駅に行き、砺波行きに乗り継ぎという案も考えたのですが、内灘〜森本間を直接結ぶバス路線というのがなくて面倒くさい。そもそも内灘はかなり方向が違うし。ということで、これらのルートは全て却下し、この機会にJR北陸線沿いに進むルートを開拓することにしました。このルート、県境の津幡町〜小矢部市間は徒歩になるのですが、だからこそ状況を調査しておきたいということで、今回これに決まりです。
 野町駅での電車/バスの乗り継ぎ時間が1分というのが心配だったのですが、改札を出てすぐにバス乗場があったので、ダッシュしなくても大丈夫でした。
 犀川を渡った先、香林坊は大和デパートなどが集まり賑わっている一方で、金沢城や兼六園などの歴史・文化施設も隣接しています。地方都市の解体が問題化しているこの時代、金沢は加賀百万石以来の街の姿を今でも保っているところに好感が持てます。この街でゆっくりしたい気持ちにもなりますが、今回は我慢してとにかく駒を先に進めます。このバスは金沢駅に寄ることなく、武蔵ヶ辻の交差点をまっすぐ抜けていきます。
 金沢から津幡までは1時間近くの行程になります。あわただしくバス・電車を乗り継いできたのが一段落し、晴れ間も覗いてきたので、ここでお昼寝モードです。

 本津幡駅→池ヶ原

 これから最大の難関、石川/富山県境に差し掛かります。どうやってここを越えるか?まず思いつくのは倶利伽羅峠越えですが、これは今ひとつ手が出そうにない。一応、津幡町中心街〜九折(つづらおり)間は津幡町営バスがあるのですが、くりから不動寺〜石動駅間の加越能バスが月に1日のみの運行(!)なので使えません。
 もっと北回りのルートになりますが、津幡町の池ヶ原または河合谷から小矢部市の嘉例谷(かれいだに)に抜ければ、3kmくらいの徒歩で済みそうです。河合谷ってどんな所か調べてみたところ、大正時代には「禁酒の村」で、今でもその碑が残っていたり、大滝など豊かな自然があったりと、結構見どころがあるようです。が、バスの時刻を調べたところ、河合谷着が15:32、嘉例谷発が15:52で、ちょっと厳しい。この後の嘉例谷発は18:32があるものの、これだと石動駅から先の乗り継ぎがなくなってしまう。結局、河合谷に行くのはあきらめて、池ヶ原〜嘉例谷間を歩くことにしました。上記の便の池ヶ原着は15:17で、これなら早足で歩けば何とか間に合いそうです。
 ところで、池ヶ原に行くのは上記の[河合谷線]の他に、別ルートで[池ヶ原線]というのがあります。金沢からのバスと乗り継ぐ場合、中心街でのルートがそれぞれ異なるので注意が必要です。今回は[河合谷線]を利用するので、ちょうど金沢からのバスの終点になる本津幡駅で乗り継ぐことにしました。
 町営バスなのですが、停留所名のアナウンスや運賃表示機などは一般の路線バスと同じです。
 津幡町は石川県森林公園などがありますが、このバスの走っているところは意外と開けた風景です。森の中から熊が出てきたらと心配でしたが、そんなに山深くない所で一安心。
 河合谷に行く途中、菩提寺前から南に曲がり池ヶ原に寄り道します。ここで下車。数軒の民家とその周辺に田んぼの広がる所でした。

 池ヶ原→嘉例谷

 バスの時刻を考えると、ここで迷ってはいられません。地図とにらめっこして、今いる場所をよく確認しながら足早に進みます。さっきの池ヶ原停留所を後にして数十mで、もう1つ池ヶ原の停留所がありました。こちらは[池ヶ原線]の終点です。[河合谷線][池ヶ原線]とで停留所が別なのは、転回場の関係かもしれません。さらに坂を下っていきますが、県境方向に似たような道がいくつも分かれているので、不安になります。もう1度地図を見て、確かにこれ!と思う道に入りました。「森林公園入口」という標識の立っているところを入る道で、これで正解でした。地図を見た感じでは等高線が少ない気がしたのに、実際歩くと上り坂で意外と疲れます(←私が運動不足なだけ?)。国道471号線に突き当たった後、北側に少し上ったところ、集落の入口に嘉例谷の停留所がありました。ここまで30分弱で到着。バスの出発まであと5分以上の余裕で、無事富山県へ抜けるのに成功しました。

 嘉例谷→石動駅前

(↓2008/6/2より小矢部市営)
 やって来た加越能鉄道のバスは、新車の匂いがするノンステップ車でした。大都市では普通に走っている車両ですが、今回の旅では新車に当たることがほとんどなかったので、すごい垢抜けした印象です。
 さて、嘉例谷を出て次の荒間口までは1km以上と間隔が空いているのですが、ここは自由乗降になっています。なので、もし嘉例谷の停留所が見つけられなかった場合でも、国道471号線上で待っていればバスに乗れます。
 小矢部市側は津幡町とは対照的に、起伏もカーブも多い道です。岩尾滝で向こうにメルヘン風の建物が見えるのは、「渓明園」という障がい者施設です。小矢部市は各所に建てられたメルヘン建築物が観光の目玉ともなっています。
 国道471号線をひたすら下っていき、やがて国道8号線小矢部バイパスをくぐると、JR北陸線の隣に出ます。石動駅には約2分早着。実は次の高岡行きが1分の乗り継ぎだったのですが、無事間に合いました。思えば、今まで乗ったバスはだいたい早着気味だったように思います。雪を前提にダイヤが組まれているからではと想像しますが、本当のことはわかりません。

 石動駅前→高岡駅前

 いよいよ今日最後のバス、16:10の高岡行きです。嘉例谷からの到着の1分後に発車ということから、もしかして同じバスかと期待していたのですが、違いました。さっきのバスは16:20の砺波行きになります。つまり、高岡行きに乗り継げなかった場合、[若林線]砺波経由で高岡に抜けるのも可能です。この他、[加越線]福野経由のルートも可能です。
 石動を出るとあたりは平野の風景に変わっていき、峠を越えたという安心感が湧きます。
 高岡市街地に入り、金屋で「高岡鋳物発祥の地」という案内標識を発見。周辺は昔ながらの町並みです。そう、高岡は今でも美術銅器の生産で全国の9割を占める町なのでした。
 間もなく万葉線の線路が見え、高岡駅前に到着。年季の入ったバスターミナルという感じです。今日はここで泊まりです。

 高岡駅前→新能町→能町(JR)→氷見→高岡

 今日の予定は終わりましたが、まだ日没まで時間があります。
 まずは万葉線の乗場を見に行くと、隣接して高岡市コミュニティバス「こみち」の乗場があります。観光にも使えるルートなので、これに乗って市街地を回ってもいいのですが・・・。
 実はもう予定は氷見線に乗ると決めていたのでした。本当は万葉線中伏木駅〜JR伏木駅間を[如意の渡]で行ってみたかったのですが、時間の余裕がないので、新能町駅〜能町駅間の徒歩連絡で妥協します(←[如意の渡]は橋が出来たため廃止)。氷見へはこの旅初めてのJRです。もう何年かぶりに乗ったキハ47は、改造はされているものの、ボックスシートが並ぶ車内の雰囲気はそれほど変わっていませんでした。こういうのに乗ると、国鉄時代の列車は「旅」を感じさせるものがあったと思います。
 雨晴から見る海は、曇り気味とはいえ、今日1日慌しかった旅の疲れが癒されるような風景でした。氷見には加越能のバスでも行けますが、ここはJRで行くのが一番だと思いました。
 さて、高岡に戻ってきたのですが、困ったことに食事する場所が見つかりません。どうやら、イオンモールに人が流れてしまって、駅前はひどい寂れかたのようです。駅前のホテル内にラーメン店があるのを見つけ、何とか夕食にありつけました。

 高岡駅前→越ノ潟

 朝早く起きて、7:00発の便に乗ります。こういう旅は早寝早起きが鉄則ですね。駅の時刻表にアイトラムで運用と書かれていて、その通りアイトラムがやってきました。末広町の交差点を曲がり、坂下町で大仏がチラッと見えます。米島口を出ると専用軌道に入り、踏切があったり路地裏みたいな所を通ったり、写真でよく見る鉄橋を渡ったりと、ローカル線のムードです。何かこういうのって、乗物好きな子どもになったようで楽しいです。連接車というのも、昔カッコいいと思った西鉄北九州線みたいです。

 越ノ潟→堀岡

 終点、越ノ潟で降りるとすぐ前が港です。もともと両岸とも旧新湊市(現射水市)だったのですが、新港が建設されて分断されたためフェリーが運航されています。運賃は無料。電車との接続はだいたい、朝夕は全便、昼間は2本に1本の割合になっています。フェリーの時刻はJR高岡駅内の観光案内所(だったと思う)で配布されている、万葉線時刻表にも載っています。今回乗った便だとすぐにフェリーが連絡します。
 小さな船で、しかも日本海に面しているため、よく揺れます。これでもデッキに立っている人がいます。海王丸の姿を眺めながら、約5分で対岸に到着です。

 新港東口→富山駅前

 こちらも港のすぐ前がバス停留所になっています。今の船に乗ってくるとちょうど7:55のバスに接続するというスムーズさです。さてこの停留所には4本もポールが立っています。富山地鉄のバスに、土休日のみ運転のライトレール接続バス、そして射水市コミュニテイバスのポールがなぜか2本です。その1本は「きときとバス」と書かれていて、JR呉羽駅行きの時刻が書かれています。呉羽行きだけが「きときとバス」という名前なのか、今一わかりません。(もう1本は旧新湊市のコミュニティバスだったかもしれません。)
 新港東口〜富山間は、もともと富山地鉄射水線という鉄道で、新港ができる前は高岡まで直通していたのですが、分断されてからは乗客が減り、廃止されてしまいました。これから乗る便は[専用道経由 富山赤十字病院行き]となっているので、射水線の廃線跡を通るようです。
 バスは古い町並みから田園地帯へと進んでいきますが、なかなか専用道に入りません。そうしているうちに国道8号線に入ります。ここで面白いものを発見。「限りなくバスを愛す」と書かれたボンネットバスです。このあたりでボンネットバスが運行されているという話は聞いたことがないので、おそらく自家用と思われますが、ネットを検索しても情報が出てこないので詳細はわかりません。
 富山市街に近づいてきたという頃、やっと専用道に入りました。面白いのは、専用道入口に遮断機があり、しかも鉄道の踏切とは逆に専用道のほうが遮断されるようになっていることです。一般車の進入を防ぐためでしょう。運転手さんが窓から手を出して傍のスイッチを操作することで遮断機が開きます。
 さて、私は富山大学前で降りて市内電車に乗り継ぐつもりだったのが、実は専用道経由の便は富山大学前を通らないのでした。新富山で乗り継げばいいのですが、それだと乗車区間が中途半端になってしまうので、このままバスで富山駅前まで行くことにしました。が、朝の渋滞が若干あったのと、交差点を何回も曲がったので、電車に乗り継いだ方がよかったかなと、少々後悔しました。
 富山駅前は地下道が整備されスッキリしているものの、バスターミナルらしい建物はなく、電鉄富山駅前の屋外に乗場があるだけです。

 電鉄富山→宇奈月温泉→愛本

 富山で約30分の待ち時間があるので、朝食にします。電鉄富山駅は都会的な駅ビルがあり、ドトールコーヒーもロッテリアも越中そばの店もあります。
 愛本での朝日町公共バスの乗り継ぎ時間が50分近くあるので、宇奈月温泉まで行って引き返しても大丈夫そうです。それはいいとしても、運賃が高い!松浦鉄道より高いし、北総鉄道並みです(すみません、比較対象が正しいかどうか・・・)。まあ、普通列車でもリクライニングまたは転換クロスという破格の豪華車両なので、その値段の価値はあるかもしれません。これから乗る普通列車も元西武レッドアローの車両で、基本的に特急に使用されているものです。イスなどは西武時代のままですが、デッキの仕切りが撤去されて前方の見通しが良くなっているのがうれしいです。
 朝なのでまだ特急は走っていないのですが、観光客風の人も数人乗っています。かつて名鉄や国鉄の特急が乗り入れていただけあって、走りはなかなかしっかりしていて、北陸の大手という印象です。特急だともっと迫力ある走りを見せるところでしょう。途中駅の「チカンちゃダメやちゃー」というポスターや、「雪ちゃんの日本海みそ」の広告が、富山県らしさを出しています。
 滑川〜魚津にかけてはJR北陸線と並行します。西武時代にはありえなかった、レッドアローと「はくたか」との遭遇も、タイミングが良ければ見られそうです。このあたりから、海も見えてきます。反対側の車窓には立山連峰の風景が広がり、観光列車らしい雰囲気になってきます。黒部を過ぎると、登山電車の様相が濃くなり、雪がまだらに残っている山々の壮大なパノラマが迫ってきます。こういう山に登る私鉄って、西武とか東武もそうだけど、好きですね。寄り道のつもりでやって来た宇奈月温泉ですが、ここまで来て本当に良かったと思いました。
 宇奈月温泉駅のすぐ隣には、黒部峡谷鉄道の小さな客車が並んでいます。折り返しの電車まで20分あるので、黒部峡谷鉄道宇奈月駅の様子を見にいってみました。今はまだ運休中なので人影はなく、出札窓口だけがやたらたくさんあります。なるほど、200mしか離れていないのに、乗り継ぎ時間が15分というのは、それだけ混雑するからでしょう。駅向い、黒部川電気記念館の前にある電気機関車も目を引きます。電源開発当初から専用鉄道で活躍していたものです。記念館は9:00から(夏季は7:30から)開いているので、もっと早く来ていれば、見学できたのですが・・・。
 折り返しの電車がそろそろ発車する時刻なので、宇奈月温泉駅に戻ったら、改札係の人から「さっき来られたばかりなのにもうお帰り?」と言われました。そりゃそう思いますよね。
参考:黒部ルート見学会
 電鉄富山駅でこれのチラシを手に入れました。黒部峡谷鉄道の欅平駅からさらに先の工事専用軌道に乗って、黒部ダムまで行くルートです。本来工事関係者しか立ち入れなかったのですが、1996年から見学会が行われています。見学するには、所定日までに応募して抽選に当選することが必要です。また安全上、参加にあたっていろいろ条件があります。ルートは欅平→黒部ダム、またはその逆のどちらか片道です(黒部ダムから先は「立山黒部アルペンルート」利用)。
 見学日・応募方法などは、富山県のサイトに掲載されています。

 宇奈月庁舎→泊駅  (宇奈月庁舎は宇奈月市民サービスセンターに名称変更)

 無人駅の愛本で降りて、駅前の道を下るとすぐに黒部市宇奈月庁舎があります。もともと宇奈月町役場だったのが、黒部市と合併して宇奈月庁舎となったものです。周辺に特に店などはなく、庁舎に用がなければ何もすることがなさそうな場所です。ここで朝日町公共バスの利用券を購入します。朝日町の他、入善町の町営バス「のらんマイ・カー」(面白いネーミング!)の券も扱っています。ちょうど小銭がなく1000円札を出したら、別の窓口で両替してから戻ってくるようにと言われました。
 さて券は買えたのですが、庁舎の前に停留所らしきものがなく、どこから乗るのかわかりません。道路を挟んだ向いの駐車場にバスが停まっているので、運転手さんに訊こうとしたら、ちょうどそこに停留所がありました。
 今までこういう利用券方式のバスというのは経験がなく、戸惑いはありましたが、これで無事バスに乗ることができました。乗車時に利用券を運転席横の箱に入れるようになっています。ここから狭い坂道を下って朝日町に向かいます。

([朝日町公共バス]は2014年4月から[あさひまちバス]に変更。現金での乗車も可能。)

 泊駅→市振

 さて私は、朝日町公共バスに2回乗ることを考えて、宇奈月庁舎で券を2枚買っておいたのですが、よく見るとちょっと気になることが・・・。券面に○囲みで「愛」と書いてあります。もしかして、この券は愛本線専用なのでは?泊駅のそばのショッピングセンター「アスカ」の「インフォメーション」で訊いてみると、やはり路線ごとに利用券が異なるとのことです。実際、券の色も異なっています。なので、余った愛本線の券は記念に持ち帰ることにして、市振線の券をあらためて買いました。
 市振線の発車まであと2時間くらいあります。朝日町には何があるのか調べてこなかったので、とりあえず海岸まで行ってみることにしました。その途中、しゃれた感じのそば処を発見。「草の子」というお店です。冬季メニューで「つくね南蛮そば」というのをやっていて、これは正解でした。あとで調べたら、富山県では評判の店とのことです(「草の子」サイト)。その近くの「ふるさと美術館」にも行ってみました。竹久夢二や豊秋半二(絵は見覚えあるけど名前は知らなかった)が朝日町ゆかりの画家だったことなど、発見がありました。海はというと、テトラポッドの間にゴミが浮いているような状態で、期待はずれでした。そんなことで、泊駅に戻ってきたら発車時刻近くになっていて、ちょうどうまい具合に時間が潰せました。

 いよいよこの旅最後のバスです。このバス路線、もとは地鉄の路線だったのが2004年3月で廃止され、朝日町に引き継がれたとのことです。(参考サイト→バスでいこっ!
 バスは海岸方向に進んで、あさひ総合病院に寄ります。これなら、泊駅よりも病院で乗ったほうが近かったようです。この後、「ヒスイ海岸」で有名な宮崎などを通っていきます。同じ海なら、こっちの方がいいんですけど、このバスの本数では寄り道もできません。
 宇奈月庁舎の停留所もわかりにくかったのですが、こっちも停留所がどこなのかよくわかりません。アナウンスもないし、地元の人は好きな場所で降りていくので、停留所はあってもないような感じです。境川を越えると新潟県糸魚川市ですが、よく見ておかないと県境を越えたことに気がつきません。新潟県でありながら、人の流れは親不知が境になっているようです。JR市振駅を過ぎて、細い道に入ると市振の集落です。このあたりの地図は持ってきていないので、適当に終点まで行くつもりでいたら、運転手さんからこのバスは泊に戻ってしまうよと言われました。怪しい人物と思われたかも・・・。どうやら転回場で折り返すのではなく、まっすぐ進んで国道に出て泊に戻るのだったようです。適当な所で降りたら、そこはちょうど「弘法の井戸」の場所でした。他に海道の松や市振関所跡など、「天下の険」と言われた場所らしく、見所がたくさんありました。ラッキーなことに、「奥の細道」ゆかりの桔梗屋のお話も伺うことができました。
 ところでさっきから非常に気になっていたのですが、ここには「青海バス」と書かれた停留所があります。もしかしてこれで親不知を越えられる!?と思ったのもつかの間、よく読むと「利用は住民に限ります」と書かれていました。やはり、「天下の険」には変わりありませんでした。
 それと、朝日町バスの市振停留所が存在するのかも気になっていたのですが、こちらは市振郵便局の前にちゃんとありました。
 帰りがけに「道の駅 市振の関」に寄っておみやげを買いました。ヒスイのアクセサリーとかもあったようです。ついでに、ここでバスの利用券を売っているか訊いたところ、ちゃんと売っているとのことでした(注1)。といっても、今日はもうバスはありません。何とさっきの14時頃(注2)のバスが最終なのです。なので、これからはどう行くにしてもJRに乗るしかありません。
 (注1: 市振線の利用券はこの他、宮崎にある朝日町漁協でも買えるようです。)
 (注2: この日は大平に寄らなかったため、市振の時刻が14時より早かったかも。確認を忘れました。)

 市振(JR)→親不知→富山

 ここまで来て引き返すのももったいないので、親不知まで行ってみることにしました。一応、駅前の案内板によると徒歩で市振駅〜天下の険間が1時間、天下の険〜親不知駅間が1時間かかるようです。とてもそれをやる気にはならないので、JRで行きます。トンネルで突き抜けて親不知駅まで6分とあっけなく着いてしまいました。道路に遮られて景色も何もない駅です。親不知ピアパークまで行けば海も見えるはずですが、電車に間に合いそうにないので、駅前を見るだけにしました。
 親不知駅前の案内板によると、中部北陸自然歩道というのがあり、内陸側を25km(2.5kmではありません)歩くと青海まで行けるとのことです。以前、海岸沿いは危険で歩けないという話を読んでいたのですが、回り道すれば青海まで行けなくもなさそうです。
 親不知駅を後にして、富山に戻ります。JRでも1時間近くかかるところで、長い旅路だったことをあらためて実感しました。
 富山駅で降りると、駅弁が目に入りました。「ますのすし」はデパートの駅弁大会で普通に手に入るので、ここは冬季限定の「ぶりかまめし」にしました。昨日は氷見に行ってそのまま戻ってきただけでしたが、これでその味覚を味わえます。ふたを開けると、駅弁には珍しい大身のブリが入っていて、大満足でした。

(補足)2012年時点では、糸魚川市コミュニティバス[きらら玉ノ木線]が週に1日だけ運行されていて、これで親不知を越えて行けるようです。糸魚川市のサイトを見る限り、特に住民限定とは書かれていません。

 思い返すと、今回はスケジュールも計画と全然違わず進んだし、発見もたくさんあったし、慌しいながらも充実した旅でした。

 参考になるサイト

 区間全駅ネットワーク −−− 「ネタの旅」というコーナーで、「路線バスだけで金沢−富山間を移動できるか?」、「路線バスだけで金沢−福井間を移動できるか?」というテーマを扱っておられます。これだけで、上記のルートは大部分網羅されちゃってるような・・・。何と、私が手を出せなかった倶利伽羅〜石動間の徒歩移動もやっておられます。あと、親不知を越えての徒歩移動は危険という話も。
 また、「思いつき!」のコーナーでは、「県境のまち 吉崎」というテーマで、あわら市営バス〜加賀温泉バスの停留所間の移動ルートを紹介しておられます。
 もりさけてん −−− 「北陸ローカルバス探見隊」は、石川県のバス路線のほとんどを網羅。おすすめ路線、停留所一覧、のりば案内など役に立つ情報満載です。
 終着駅のない旅 −−− 万葉線の越ノ潟駅など、鉄道の終点から先に抜ける方法を研究されています。

 私鉄を乗り継いで旅するページ(ホーム)