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東京〜大阪〜和歌山 豪華私鉄乗り継ぎの旅
あるいは JRを使わない旅 2015

2016/1/1公開

(注意:2020年1月現在、杉崎高速バスの浜松便は、秦野から利用できなくなっているようです)

はじめに

 JRを使わない旅シリーズ第1弾。私鉄マニアにとって究極の夢といえば、JRを使わず私鉄だけで長距離を旅行すること。しかしそんな夢を挫くのが「静岡県の壁」でした。長いこと、静岡県をJRを使わずに横断するには、一般道の路線バスを延々乗り継ぐしかない、しかも途中にはその路線バスすらなく、歩くしかない区間もあるという状況でした(陸上移動の場合)。
 ところが、そんな「静岡県の壁」がついに崩壊する時がやってきました。2014年3月、遠鉄の[e−LineR 横浜線]で、御殿場〜掛川を移動できるようになったのです(1本のみ。要予約)。これで関東私鉄の西端と関西私鉄の東端とがほぼ直結できるといってもいいでしょう。(和歌山まで高速バス1本で行ける、とかいうツッコミはナシね)
 そこで、 [e−LineR]を使って東京から関西まで私鉄だけで行ってみようと思ったわけですが・・・年末の、しかも急に思いついた旅だったため、座席はすでに満席でした。しかし、ここであきらめてはいけません。次善の策がありました。杉崎観光の夜行バスで、秦野〜浜松の利用が可能な便があるのです(ただし運行日注意)。実際、小田急線の新松田から先は進行方向が大きく変わって遠回りな形だし、宮脇俊三「東京−大阪・国鉄のない旅」でも新松田からバス利用になっているし、秦野〜新松田は2駅差だし・・・と考えると、まんざら無意味な行き方でもないでしょう。それで、こちらは座席が取れました。2015年12月末に実行です。

(路線・ダイヤ等はその後変わる可能性もあるので、最新情報を確認するようにしてください。)

とうきょうスカイツリー→浅草

 豪華私鉄旅行ということで、[スペーシア]にも乗っておきましょう。この1駅区間のみだと、特急券なしで利用可能です。
 もちろん、やる気とお金があれば、西若松から[AIZUマウントエクスプレス]〜[スペーシア]と乗り継いで来る、拡大版の豪華私鉄旅行もアリですね。

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浅草→上野広小路

浅草→新宿間の最短かつわかりやすいルートとして、[東京メトロ銀座線]〜[都営大江戸線(新宿西口駅)]の乗り継ぎを選択。
 浅草で乗車券購入の際は、「都営線連絡きっぷ」のほうを買いましょう。列車は2つのホームから交互に発車しますが、階段が別々なので、発車前に確認しておきましょう(もっとも本数が多いので、ぎりぎりスケジュールでない限り1本見送っても大丈夫ですが)。復刻カラーの車両(写真手前)と銀色の車両(奥)がほぼ半々の割合でやってきます(←銀色の車両(01系)はその後引退)。

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上野御徒町→新宿西口

 メトロは上野広小路、都営は上野御徒町ですが、乗り換え駅です。ちなみに上野御徒町駅は京成上野駅との乗り換えにも使えます。また、新宿西口駅は西武新宿駅との乗り換えにも使えるなど、[大江戸線]は私鉄の旅にいちばん活用できる地下鉄路線といえます。

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 「飯田橋・新宿西口・都庁前 方面」の乗場から乗車です。(環状線なので逆方向でも行けることは行けるが・・・)

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降車は新宿西口駅です。上野御徒町、新宿西口ともそんなに深くはない駅です(新宿駅で降りると、あり得ない深さで大変)。

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新宿→秦野

 迷路と言われる新宿駅ですが、大江戸線→小田急線の乗り継ぎは、それほど迷うことはなさそうです。表示通りに進んでいけばまず確実に到達できる。JRの改札口を横目に見ながら通り過ぎて行くのが優越感を感じるんですな。
 (新宿駅の案内表示は、2017年度に新しい形式に統一)

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 逆に小田急線→大江戸線の乗り継ぎの場合は、「大江戸線 新宿駅」ではなく「大江戸線 新宿西口駅」のほうを目指して行きましょう。

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 参考までに、今回、東武浅草駅〜小田急新宿駅にかかった時間は、徒歩移動や待ち時間を含めて60分弱といったところです(途中で立ち止まってメモを取ったりしたので、乗換検索ソフトの結果より長めですが)。都心部の移動時間は結構馬鹿になりません。あと[銀座線]も[大江戸線]も他社との直通がないので遅れのリスクは小さいですが、それでもたまには止まることがあるので、代替ルートも確保しておくのが無難です。

 さてこれからロマンスカーに乗車です。予約は前もって「e−Romancecar」で済ませておきました。他社はだいたい会員制の予約システムなのに対し、小田急は会員登録なしで使えるのが便利です。しかも座席もシートマップで選べる。ただし、購入期限が発車15分前まで(7日前〜当日予約の場合)なので、それまでに駅に着いておく必要があります。

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 豪華私鉄旅行というからにはVSEといきたいところですが、今は夕方の帰宅時間のため、EXEのみ。もっとも、イスの座り心地はVSEを上回るとの評判だし、最前列右側だと、一応運転席越しに前面展望は可能です。

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秦野駅南口→東名秦野

 さてここからが問題。東名秦野発が25:05(←その後変更あり注意)なので、それまでどうするかです。神奈中バスの深夜バスに期待しますが、秦野駅から東名秦野に行くのはありません。そこで考えたのが次の2つの案。
 (1)秦野駅南口→二宮町内→東名秦野 : 同じ道を引き返すことになりますが、二宮→秦野の方向だけ深夜バスがあるので。
 (2)秦野駅南口→南が丘→[徒歩]→東名秦野 : 南が丘から東名が近い。

今回は、同名停留所で乗り継ぐことにこだわったため、(1)を選んだわけですが、これが後でトラブルに。さすがに冬の夜、二宮の屋外で過ごすのはツラかった。田舎をナメてましたね。とにかくここで体調を壊しては元も子もないので、結局深夜バスはあきらめて、二宮町内のファミレスで時間を潰した後、タクシーに乗ることにしたのですが・・・。二宮駅前のタクシー乗り場に行くと、そこには行列が・・・そしてなかなかタクシーが来ない。そうです、今は終電近くなのです。これはさすがにヤバくなってきました。せめてヒッチハイクでもと期待して、秦野に向かう道路に出たところ、何と秦野に戻るタクシーが見つかったのです。これには救われました。感謝感謝。無事、東名秦野に到着。
 反省として、上の(2)の案にしておけば確実だったんですね。それで、秦野駅にもっと遅く着く電車に乗ればいいわけだし(ただし遅い時間だとロマンスカーが本厚木止まりのため、本厚木〜秦野間は一般車両の利用となるが)。とにかく、深夜のタクシーに期待してはダメです。それでも東名秦野で1時間くらい待たなければならないんですが、近くのエッソのGSにドトール(秦野中井IC店)があって、深夜3:00まで開いているようです。
(補足:秦野駅からバスを使わず、徒歩だけの場合は最短2.6kmです。土休日だとバスの最終が早いのでこの選択も有り。)

東名秦野→アクトシティ浜松

 神奈中バスの東名秦野停留所(二宮→秦野方向)のすぐそばに、高速BSの案内が大きく出ているので、すぐに到達できます。高速BSといえば、夜間はちょっと怖い雰囲気の所もありますが、ここは照明も明るくて、それほどではありませんでした。

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 25時近くだというのに、ちゃんと先客が何名かいました。帰省シーズンということもあるでしょうが。
 この時期なので、約15分遅れではありますが、ついにバスがやってきました。これから静岡県の壁を超えます。

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  4列シートなのは、途中細かく停車するという路線の性格上仕方がないでしょう(←区間利用なので通路側席が良し)。浜松まで約3時間で、途中2ヶ所休憩したため、ほとんど眠ることはできませんでした。まあ、昔の国鉄の大垣夜行(つまり[ムーンライトながら]になる前)みたいなものだと思って、ここは豪華私鉄旅行のために我慢です。

 浜松は、アクトシティへの到着です。駅前の円形のバスターミナルではないので注意。ウィラーと並んで停留所標識が立っています。

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  さて、アクトシティの外に出たものの、駅へはどう行くのか?あたりを見回したら、ちゃんと標識が出ていたので安心。

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  例の駅前の円形バスターミナルの地下に到着できました。実は、アクトシティから地下道がつながっていたのでした。

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  ちなみに[e−LineR]は、この円形バスターミナルから発着します。

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新浜松→西鹿島

 ここで約2時間と中途半端な待ち時間ですが、静岡県随一の大都市だけあって、一応コンビニが数件あります。
 私的には、いよいよここから関西私鉄の始まりです。今回、深く考えずに普通乗車券を買ってしまいましたが、実は「天浜線・遠鉄 共通1日フリーきっぷ」を買えば、新浜松〜新所原が20円安く行けるのでした。
 ICカードの読取機がありますが、使えるのは遠鉄の「ナイスパス」のみ。PASMO,manaca,PiTaPa,nimoca等の相互利用は不可です。

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  冬なので、夜が明けるころ西鹿島駅に到着。なかなかしゃれた感じの駅舎です。もともと遠鉄のほうが先に開業した駅だという歴史を知って納得。

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西鹿島→新所原

 遠鉄の乗場を過ぎて奥のほうが天浜線のホームです。隣に遠鉄の電車が見えるのが、このあたりでは都会な風景です。

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  ちょうどイベント用か何かの車両がやって来て、車内のカーテンのデザインがなかなか面白いです。

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  ここは別に豪華私鉄なわけではないですが、昔の国鉄ローカル線のほぼそのままの風景が楽しめます。西気賀駅の6分停車中に撮影。

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  このまま終点の新所原まで進み、新所原から徒歩という予定です。

新所原→大脇[徒歩]

 新所原駅には名物「駅のうなぎ屋」が健在です(営業時間10:30〜18:30、火曜定休)。もっとも以前あった「うなぎうどん」のメニューは見つかりませんでしたが。

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  新所原駅前に最近できたものは[コーちゃんバス]の停留所。以前の遠鉄バスは駅から離れた場所に停まっていたのですが、[コーちゃんバス]になって駅前に乗り入れるようになりました。ただし残念ながらこれより西側へは行きません。

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  ここから豊橋市内へは徒歩、新所原駅を出て程なく豊橋市の標識が見えて来ます。静岡県の壁を超えたと実感する時ですね。もっともここから豊橋市内の最初のバス停留所である大脇まではさらに歩かないといけないのですが。それでも、かつて由比〜興津の路線バス断絶区間を歩いたのに比べれば楽勝なもんです。

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  JR東海道線沿いにずっと歩き、30分強でしょうか、「大脇町」の交差点に到達します。その先に見える「サークルK」の前が大脇の停留所になります(新所原から来る途中にもう1つサークルKがあるので注意)。

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大脇→豊橋駅

 停留所の写真撮っただけで、バスの写真は撮る時間ありませんでした。このバス、元はJRバス[浜名線]だったのが豊鉄バスに移管されたもの。さっきの[天浜線]も元国鉄[二俣線]だったので、元国鉄路線の乗り継ぎで、今回のルートが可能になったことになります。豊鉄に移管後の路線名は[二川線]。その名の通り、途中二川駅に寄っていきます。
 もうこれで勝負は決まりました。後は特に心配することなく乗り継いで行けるでしょう。

 

豊橋→名鉄名古屋

 名鉄の「ミューチケット」はネット予約ができないのが残念(←2019/5/18からネット予約可能に)。JTBなどでも発券はできるのですが、今は手数料がかかるようです。また、さっきのバスの時間も読めないため、今回予約はせず、駅に着き次第購入することにしました。
 ちょうどバスが着いて6分後、9:45に発車する特急があるので、急いで窓口に行って、パノラマ席をリクエストしたら、スムーズに発券してもらえました。まあ、豊橋からパノラマ席に乗ったのは私1人でしたけどね。

 JRと共通の改札を通り、名鉄ホームへの階段を下りれば、電車はすぐそこです。展望車が豊橋側にしかなくて、過ぎ去る風景しか見れないのは残念ですが、車両は一番階段の近くです(写真左奥が階段)。

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  私の場合、何回か利用経験があるので、バスが着いてから電車に乗るまで3分くらいでしたが、初めての方は余裕をもって1本後の便(10:02)にするほうがいいでしょう。
 鉄道マニアの方はご存じと思いますが、下地まではJR飯田線との共用区間。駅名標ももろJR東海ですが、まあそこは目をつぶりましょう。

 朝日のためモロ逆光で、パノラマ写真(?)はほとんど撮影できず。そうこうしているうちに名鉄名古屋に到着。

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 これも私鉄マニアにとって常識かもしれませんが、名鉄名古屋駅は乗車と降車でホームが分かれています。降車ホーム(写真正面)から階段を上り、岐阜方面への乗車ホーム(左手)に下りると、近鉄線への乗り換え改札があります。

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ついでに、名鉄伝統のカラーの車両も1枚。

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近鉄名古屋→大阪難波

 名鉄/近鉄乗り換え改札の傍に近鉄全線の乗車券発売機あり(券売機とは言わないらしい)。

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 今回は紙の乗車券で乗りましたが、IC乗車券だと通常の改札機同様にタッチすれば通れます(名鉄、近鉄の公式サイト参照)。

 特急券は近鉄駅構内、特急ホームの傍に特急券発売機あり。改札外に出なくても必要な物は揃います(逆にこれが当たり前だと思っている人が東京に来たら、乗り換え改札でその先のきっぷが買えないことに戸惑うかも)。
(補足:改札内の特急券発売機は機能に制限があったはず。席のリクエストができないとか。実は今回、窓口で特急券を購入したため、実際に機械の操作はやっていないのです。とりあえずネット購入の特急券の受け取りが改札内の機械で可能なことは確認済み。)

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 この日は帰省シーズンで、たぶん新幹線からの乗り換え客が集中する時間と思われ、特急は軒並み満席。11:00のアーバンライナー、11:10のビスタカー(伊勢中川乗り換え)とも満席のため、11:30の一般特急車両(スナックカー?)で停車駅の多いタイプに乗ることに(12:00のアーバンライナーでもよかったのだが、以前何回か乗ったのでまあいいやと)。結局さっきのパノラマスーパーにあわてて乗る必要はなかったのでした。こんな場合、ネット予約しようにも、乗り継ぎタイミングが読めないのが悩ましいところです。

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大阪まで約2時間、やっと一眠りする時間です。地方鉄道というより小さな国鉄といえそうな近鉄があるからこそ、私鉄だけの旅が成り立つんですね。

 

難波→泉佐野→和歌山市

 難波の近鉄〜南海の乗り換えは、表示通り進めば大丈夫です。たぶん新宿よりは迷わないハズ。

 [サザン]まで時間の余裕があるので、先行の[ラピート]で泉佐野まで行き、泉佐野から[サザン]利用としました。この機会に[ラピート]のスーパーシートに乗車。今回の旅で随一の豪華車両ですが、30分足らずの乗車なのが惜しい。実際、スーパーシートの乗客は私1人だけでした。

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 [サザン]の座席指定券は泉佐野駅のホーム上の機械で買えます。ペラペラの切符です。[ラピート]は「特別急行券」で、[サザン]は「座席指定券」なのが面白い(自由席があるから)。あと、良く見ると難波駅の窓口で買った切符は地紋が「スルッとちゃん」で、泉佐野駅のホーム上で買った切符は地紋が南海の社紋でした。

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 紀の川を渡ると、いよいよ和歌山市駅に到着。この先、和歌山電鐵に乗ろうか、紀州鉄道に乗ろうかと考えますが、とりあえず県庁所在地まで来たので、ここで一区切りとします。ちなみに、南海和歌山市駅〜JR和歌山駅の間は和歌山バスで移動可能。和歌山市駅から御坊へはスケジュールが限られますが、 こちらのルートで行けます(有田鉄道バスの乗場の場所を確認するのを忘れました)。

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(関連リンク: [e−LineR]利用版、  静岡県1日横断版(東行き)、  東北地方版

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